74 少年

インド


カジュラホの街をぶらついていると、

10歳くらいの少年が英語で話しかけてきた。

適当に会話を交わしていると、

それを見ていた茶店の店主が言った。

「その子としゃべっちゃいかん。気を付けろ。」

なぜ、そんなことを言うのだろう?

これもカースト制度の名残りなのだろうか。

その言葉をあまり気に止めず、少年と話していると

しきりと自分の家に遊びに来いと誘ってきた。

いや、待て。

これはもしやあのパターンか。

食事に睡眠薬を入れられ、起きた時にはスッカラカン。

なんとなく、少年のしたたかさを感じた俺達は、彼を振り切った。

再び街をブラつき始め、一軒の民家の前を通った時、

家の二階から幼い子供が話しかけてきた。

「ハロー、ウエルカム マイ ハウス!」

手には注射器を持っている。

少なくとも医療に使っているものではななそうだ。

逃げるようにその場を離れる。

 

夕方、メイン通りを歩いていると、

昼間の少年が白人の集団を自分の家に誘っていた。

少年は俺と目が合うと、ニヤリと不気味な笑みをもらした。

その笑みの向うに気まずさが見え隠れしている。

テレビゲームに夢中になる日本の子供とのギャップ。

インドの現実を突きつけられたような気がした。

こんなのどかな田舎町でも警戒を解くのは危険そうだ。

つづく・・・

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