70 ガンジス川

インド


午後3時半、列車はバラナシ駅に着いた。

オーストラリアン男性とオートリクシャーをシェアして、

ガンジス川に沿って点在する安宿街に向かう。

当然、運転手は、ガイドブックを元に

こちらで指示した宿には行かなかったが、

1泊150ルピー(375円)のダブルベッドの部屋にありつけた。

翌日、昼過ぎに起きた俺達は、

いよいよガンジス川に向かう。

迷路のように入り組んだ路地をすり抜けながら、

ある思いが頭を占めていた。

”所詮、ただの汚い川だ。神秘的な力などあるわけがない”

ガンジス川を目の前にした俺達は、しばらく無言のままだった。

実物を目の当たりにしての俺の見解は、

”この川には何かある”

その ”何か” はハッキリと言えないのだが。

横にいるエイジも、どうやら同じことを感じているようだ。

と、1人の少女が近づいてくる。

手に無数の手作りの首飾りをぶら下げたその子は、

「10ルピー」 と、諦めたような表情で言った。

俺達がみやげ物の購入を断ると、

「ギブミーチョコレート」 

俺達の手にぶら下げられた、

夜食用のお菓子の入った袋をにらみながら力強く言った。

さっきと違い、目が本気だった。

「NO」 と断り、逃げるようにその場を去った。

とても残酷なことをしたような気がして、

少女の顔が頭から離れなかった。

つづく・・・

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