55 悲壮感とカニと花火と乳輪

タイ

バスを乗り継ぎ、夕方、ミャンマーとの国境の街、メーサイに着いた。

なんなんだろう。どことなく街の雰囲気が重く、悲壮感が漂っていて、

寂しさが込み上げてくる。

宿を探す。どの部屋を見ても、雰囲気が暗く、泊まる気になれない。

まずい、そうこうしてるうちに日は完全に落ち、暗くなっていた。

野良犬がものすごい勢いで吠えてくる。

とりあえず、さっさと寝床を確保したほうが良さそうだ。

結局俺は一泊200B(600円)の部屋をとった。

宿の目の前を流れる小さな川の向こう側はもうミャンマーだ。

値段の割にだだっ広い部屋は、

もはやお約束の雰囲気の暗さ以外に、一つ難点があった。

異様にカニ臭いのだ。直前までカニパーティーでもやっていたんだろうか?

持っていたお香をボンボン焚いたのだが、

肌が痒くなるような臭いが消えることはなかった。

夜遅くに、爆音が鳴り響いていたので、外に出てみた。

目に入って来たのは、打ち上げ花火だった。

そうか、大晦日の夜だった!年があけたんだ!

考えて見れば、生まれてこの方、

年明けの瞬間を一人で過ごすのは初めてかも知れない。

街の雰囲気も手伝って、寂しさが込み上げてくる。

すると背後から、

「Happy new year!」


見ると宿の共同シャワーから出てきた白人の太ったおじさんが、

腰にタオルを巻いた状態で花火を眺めていた。

それにしてもおっちゃん、乳輪がデカい!デカ過ぎる!

打ち上げ花火の輪郭とシンクロしてしまう!

どうしても目がいっちゃうから、

おっちゃん、頼むから何か着てくれ!

つづく・・・

コメント